人物ファイル

星空の映画祭 28TH STARDUST THEATER IN HARAMURA

日本で一番星空に近い映画館へようこそ

8/4(日)〜8/25(日)連日20:00より毎夜上映

夏の夕暮れ 草の香り

足元を照らすろうそくの灯り
虫の声 涼しい風

見上げれば満天の星空
今年も始まる「星空の映画祭」

いつまでも記憶に残る最高の作品に出会えます。

星空の映画祭復活物語

原村の自然文化園で開催される「星空の映画祭」が復活して今年で4年目を迎える。1984年に始まったこの映画祭は、DVDの普及、シネコンの台頭などにより、徐々に観客数が減っていき、2006年に一旦幕を閉じた。
現映画祭の実行委員長の一人である武川寛幸さんは進学を機に上京し、学生時代にアルバイトをしていた映画館に就職した。そんな時、「星空の映画祭」が閉幕したと聞き、すごくさびしい思いをしたと言う。
「自分が映画業界に進んで初めて分かったことなんですが、夏の2か月間、野外で毎日開催される映画祭なんて日本中いや世界中を探してもないんです。しかも、それをたった2人で始めたって言うんですからもう本当にすごい方々だなと思いました。」
もう一度、あの場所で映画を観たい。子供たちや友人や家族にも自然の中で観る映画の感動を味わってもらいたい。そんな想いが日に日に大きくなっていった。そして、2009年の冬、もう一人の実行委員長である秋山さんとともに、創始者である柳平さんを訪ねたのである。
「でもその日は何の連絡もなしに突然訪ねて行ったので柳平さんには会えませんでした。自分たちに何ができるかはわからないけれど、ただもう一度あの場所で映画を上映したいという想いを置手紙に綴ってその日は帰りました。」
後日、柳平さんから連絡があり会って話をすることになった。どんな想いで「星空の映画祭」を始めたのか、今までどんな映画を上映したのか、やりがい、苦労などなど。
最後に柳平さんからこんな言葉をもらった。
「いつの日か君たちのような若者が訪ねて来てくれると思って待っていました。」
「あの一言には本当にシビレました。自分達にもできるかもしれないという自信と勇気をもらいました。」

ボランティアスタッフで作る映画祭

新生「星空の映画祭」は、15~20名のボランティアスタッフで運営されている。オフィシャルサイト、SNS、チラシ、口コミなで運営されている。オフィシャルサイト、SNS、チラシ、口コミなどで集まったスタッフはそれぞれ個性豊かである。映画好きな人、アウトドアイベントが好きな人、何かやりがいを求めてきた人、動機はそれぞれであるが一つ共通して言えることがあるという。
「みんなこの野外ステージで初めて映画を観るとそれがどんな映画であったとしても一様に感動するんです。室内の映画館では得られない感動や高揚感があるんだと思います。」
始めた年は手探りの中、4作品の上映であったが、今年は8作品の上映となった。上映作品の選考も実行委員会で行っている。
「まず、各々が上映したいと思う作品をノミネートします。それから全体のバランスを考えます。洋画、邦画、アニメ、アクション、音楽物、ドキュメンタリーなどで構成します。ただ単に多数決で決めるとういことはありません。どうしても自分が見てもらいたいと想う作品は熱くプレゼンします。他のスタッフから大反対にあう時もありますが、この選考会議の時間もとても刺激的で楽しく感じられます。」

世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶

最後に今年一押し映画はどの作品か尋ねてみた。
「そうですねえ、上映する作品はどれも思い入れがあるし、多くの人に一つでも多く観てもらいたいですね。個人的には、『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』というドキュメンタリー映画を推します。
実は上映選考会議でこの映画を上映したいと言ったところみんなから大反対を受けたんです。『武川さんの個人的趣味でやってる映画祭じゃないんだよ』と言われたりもしました。(笑)確かに静かな映画でエンターテーメント性に欠けるかもしれませんが、緑に囲まれた野外劇場で、満天の星空の下、洞窟壁画のドキュメンタリー映画を観るって何だかワクワクしませんか?」

※「世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶」
ドイツが誇る世界の巨匠ヴェルナー・ヘルツォーク監督によるドキュメンタリー映画。1994年南仏で発見されたショーヴェ洞窟、その奥には3万2千年前の洞窟壁画が広がっていた。フランス政府は貴重な遺跡を守るため、研究者や学者のみに入場を許諾してきた。ここに初めてヘルツォーク監督率いるスタッフが入り撮影を敢行した。
※ショーヴェ洞窟
1994年12月、南フランスで三人の洞穴学者が発見。隊長のジャン=マリー・ショーヴェにちなんで命名された。洞穴には美しい壁画が広がり、最古のものは3万2千年前(日本の旧石器時代)に描かれたと判定された。それは1万5千年前に描かれて最古とされていたラスコー壁画をさらに1万7千年遡る。

「この映画の中で馬をデッサンした壁画があるんですが、馬が4頭並んでいる壁画があります。その壁画に松明の揺らぎが当たると、1頭の馬が頭を動かしているように見えるんです。これって、現代の映画やアニメと同じ原理なんですよね。アートや芸術がすでに誕生していたんです。3万2千年前から考えると技術的進歩は飛躍的に進んだかもしれないけれど、自然への敬意などは退化していないだろうか?果たして現代に生きる我々は太古の先人達よりも優れているのだろうか?そんなことを考えさせられたりもします。」
「世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶」上映日時
8/15(木)、8/20(火) 20:00より

その他の上映作品
おおかみこどもの雨と雪
2012年 / 日本 / 35mm / 117分
監督:細田守 / 音楽:高木正勝
声の出演:宮崎あおい、大沢たかお 他
レ・ミゼラブル
2012年 / イギリス / 35mm / 158分
監督:トム・フーパー
出演:ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、ラッセル・クロウ 他
ライジング・ドラゴン
2012年 / 中国=香港 / 35mm / 125分
監督:ジャッキー・チェン
出演:ジャッキー・チェン、クォン・サンウ 他
ミッドナイト・イン・パリ
2011年 / スペイン・アメリカ合作 / 35mm / 94分
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン、マリオン・コティヤール 他
ソウル・パワー
2008年(1974年) / アメリカ / 35mm / 93分
監督:ジェフリー・レヴィ=ヒント
出演:ジェームス・ブラウン、モハメド・アリ、B・B・キング 他
Playback
2012年 / 日本 / 35mm / 113分
監督:三宅唱 主題歌:大橋トリオ
出演:村上淳、渋川清彦、三浦誠己、菅田俊、渡辺真起子 他
道~白磁の人~
2012年 / 日本 / 35mm / 119分
監督:高橋伴明
出演:吉沢悠、ペ・スビン、酒井若菜

星空の映画祭公式ページ
http://www.hoshizoraeiga.com
会場:八ヶ岳自然文化園野外ステージ
長野県諏訪郡原村17217-1613
TEL:0266-74-2681

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