人物ファイル

コマ大戦 坂元正一さん/安英輔さん

大のオトナ達が本気になって 遊んでいる風景がそこにある。

コマ大戦HP http://www.komataisen.com
日成機工HP http://www.nissei-p.jp

直径が一円玉より小さいコマを直径250mmの土俵の上でぶつけ合う。
全霊を打ち込み作り上げた自らのコマの戦いの場だ。
相手との勝負で二回先に勝つと勝者になる。
勝者は敗者のコマをもらえる。(それまでの戦利品を含み総取り)
勝者と敗者の差はあまりにも大きい。
その厳しさ、それもまた人生なのだといえる。

今回そんなコマ大戦の10月26日信州上田場所、11月3日北名古屋場所で二連覇を果たした茅野市の日成機工さんにおじゃましました。
お話を伺ったのは旋盤の仕事一筋55年の安英輔さんと、ただただ自分の目指すZEROのために五感を研ぎ澄ませている坂元正一さんです。

 

コマ大戦の初参戦

コマ大戦との出会いを教えて下さい。

安さん「以前、職業訓練校で教えていた時に『ものづくりの楽しさ』を感じてもらおうとコマを作ったりしていたんだけれど。コマ大戦のコマ作りは難しかったねえ。
コマ大戦への参加は一年程前から。最初は北陸ブロックの新潟場所に参戦したけれど一回戦で負けてしまった。あの時は悔しくて悔しくて。それ以来、『勝つためにはどうしたらいいか』そればっかりを考えていました。
材質はどうなのかとか、土俵で廻したときどうなのかとか、試行錯誤しながら試作づくりを繰り返した。その後、大田区場所に参戦してようやく3位になった。」

 

コマ大戦の意義

コマ大戦に参戦している理由を教えて下さい。

坂元さん「自分がやってきたものづくりをコマの中に全て盛り込んでいく、そこに自分のやって来た成果が表れる。
中小企業は一般的に大手メーカーの下請けとなるわけですが、自社製品を持って直接お客様に販売していく、スモールメーカーとして製品を育てていこう。そのひとつがコマなわけです。また、『コマ大戦に関わった人たちと共に何か作っていこうよ』という思いもあります。
みなさん後継者不足な訳ですが、オトナ達が本気になって遊んでいる姿を見て、『何なのだろう?』と若い人たちが少しでも、もの作りに興味を持ってくれればいいしね。強いコマがどうしたら作れるのだろうか、自分たちのアイデアや創意工夫がきっと社内の活性化に繋がっていくと思います。」

 

長年培って来た技術を、魂を、小さなコマに込める。

コマ大戦に参加することは、勝ち負けにはこだわるものなのですか?

坂元さん「私が製造業に携わって30年以上になります。あの日お客様に感謝していただいた喜び、あの日お得意様に理不尽な事を言われた悔しさ、それら全てを糧にして自分が長年培って来た技術を、魂を、小さなわずか直径20㎜以下、一円玉より小さなコマに込めるわけです。だからこそ勝ちたいのです。
参加することに意義があるなどというきれいごとでは無く、勝ちたいのです。負ければなんだか自分の今までの人生を全て否定されたような気持にすらなります。」

 

負けの三法則

それでは勝つための準備として考えることはなんでしょうか?

坂元さん「負けの三法則が存在するのですね。それは①情報不足②思い込み③慢心です。ですから、各場所ごとに必ず新しく作ったコマで参戦します。前の場所で勝ったからといって、そのまま次の場所も勝てる程あまい世界では無いのです。みなさん勝ったコマを研究し、さらにそれを上回るコマを作って来ます。だから、さらにその上を行かなければ連覇などできるものではないのです。」

私はその言葉を聞いて、コマの世界だけでは無くまさしく人生に通じるものだと思った。この取材後、11月10日エキシビジョンマッチG3(埼玉場所)、11月16日プレ世界大会 in 八王子G3とスケジュールが組まれている。どんな結果になるだろうか。楽しみなところだ。
直径250mmの土俵の上で繰り広げられる戦い。それがどれほどの意味を持つのかはまだ誰も知らない。ただひとついえることは、巨大なタンカーよりも、小さな小さなコマがこの世界を変えることもあるかもしれないということだ。

※11月10日に行われた「全日本製造業コマ大戦 G3コラボさいたまステージ」でも優勝し、見事三連覇を果たしました。

  • 坂元正一さん

  • 安英輔さん

  • 10月19日に行われた全日本製造業コマ大戦「諏訪圏工業メッセ特別場所」の様子。

  • 全日本製造業コマ大戦公式テーマソングを歌っているAOIさん。

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