人物ファイル

ブラジル音楽を八ヶ岳の麓にて JUNKOさん

JUNKOさん

富士見町、北杜市を中心にゆるやかにブラジル音楽を歌うヴォーカリスト。
ライブ回数は多くはないが、共演するギタリスト須古氏、ジャズピアニストであり夫である越智健二氏と共に聴きにきた人達を幸せな気持ちにさせている。
2013年9月には富士見町にcafé小舟をオープン。新たなステージが幕を開ける。

会うたびに、チャーミングな笑顔を見せてくれるJunkoさん。
出会ってからもう15年以上経つけれど、そう言えばJunkoさんの音楽のルーツって聞いてなかったなと思い、今回、編集長onikuruが取材をさせてもらいました。

 

富士見町の乙事亭の近くにあるJunkoさんのお宅。玄関を開けてお出迎えしてくれるのがJunkoさんとMix犬のミウちゃん。
 毎度の事だけど、とにかくミウちゃんの熱烈歓迎ぶりがハンパない。椅子に座っても暫くの間は、「ねえ、私だけを見てて!!そして、私をなでて」の猛アピール。
普段、こんなに積極的に求められることがないから、そりゃうれしいですよ。例え、相手が人間の女性でなくても・・・。でも、できれば、その・・・。

 

onikuru(以下oni)「Junkoさんとブラジル音楽の出会いって、いつ、どんな形でですか?」
Junkoさん(以下jun)「私の母が歌うことが好きで、私がお腹の中にいる頃もずっとラジオで流れている曲を歌ってくれていたらしいの。胎教みたいな意識はなかったかもしれないけれど、多分、歌うことって楽しいなっていう感覚が伝わって来たんじゃないかな。だから、物心ついた時には、自分で曲を作ってひとりでデタラメな歌を歌ってたの。小学生になってピアノを習い始めてからは、母・作詞、私・作曲、妹・歌っていう遊びをよくやってたな。大人になってから、その時の音源が出てきて感動して。その曲は夫にJazzアレンジしてもらって、今でも時々歌ってるんだ。
でもね、クラッシックピアノって凄く嫌いだった。何しろ決められたことをきっちりやらないといけないっていう窮屈さと練習で間違えるとすごく怒られるっていう恐怖心。小さいながら『なんでこんなつらい思いをして、ピアノをやらないといけないの?』って思ったの。
そんなある日、父の友人宅に遊びに行く機会があったの。そこには私の1歳年上のクニオくんって男の子がいてエレクトーンを私たちに披露してくれたの。それが、当時の自分にとってはすごくカッコ良く映って、もう夢中になったなぁ。家に帰ってからピアノの脚元に段ボールで作ったペダルを置いて、自分の中ではエレクトーンを弾いているつもりになって。クラッシックピアノに比べてエレクトーンは、すごく自由に見えたのかもしれないな。
両親はそんな私を見兼ねて、クラッシックピアノからエレクトーンへの転向を許してくれて、小さなエレクトーンも買ってくれたの。決して裕福な家庭ではなく、家も小さかったのに、娘の為に随分無理をしてくれたんだろうなって思う。その当時の事を思うと、両親には心から感謝してるの。
エレクトーンを始めてからは、やっぱり好きなことだから、技術も上達して小学5年生の頃には地区の代表としてジュニアコンクールに出ることになったのね。そして、そのコンクールで私の前に弾いた人がボサノバの“Wave”を弾いたの。その時に、何てきれいな曲なのって思ったの。そのコンクールの後、先生に“Wave”の事を色々教えてもらって、ブラジル音楽でボサノバっていうのがあって、アントニオ・カルロス・ジョビンっていう人が作った曲だっていうことが分かったの。それからすぐにLPレコードを買いに行って、擦り切れるまで何回も何回も聴いたなぁ。今でも“Wave”は私の中でNo.1かな。」

oni「それから、ヤマハ音楽教室幼児コースの講師をやり、ジャズピアニストの越智健二さんと結婚し1997年に東京から八ヶ岳の麓へ移住して来たと。」
jun「こっちに来て思ったのは、ヤマハの講師を16年やり、ジャズピアニストと結婚したってこともあって、もう、ピアノやエレクトーンを突き詰めて考える必要もないなということだったの。これからは、自分のやりたい音楽、他の楽器や歌うことをやっていきたいなって。それから、ヴォーカリストのさがゆきさんのレッスンを受けたり、ジャズヴォーカルグループで歌ったりして、今は、ギターとデュオまたはピアノとデュオというスタイルで歌ってます。ギタリストの須古さんと演る時は、少しワクワクするような化学反応を楽しめるし、ピアニストの夫とやる時は、安心感を持ってできるって感じかな。お二人ともミュージシャンとしての絶対的な技量があるから毎回すごく楽しんで歌うことができるの。いい出会いに恵まれて本当に感謝しております(笑)」

 

ブラジル音楽からはいつも二面性を感じると言う。
歓喜悲哀
エネルギーを感じる明るい作品があるかと思えば、内に内に向かう静かなエネルギーを持っている作品もある。そして、ブラジル音楽の大きな要素の一つが自然賛美である。

Junkoさんは言う。
「もし、あのまま東京で暮らし続けていたならブラジル音楽を歌うこともなかっただろうな。
八ヶ岳の麓に移り住んで、日々移り変わる風景や空気を感じることができて初めて自分の好きなことにしっかりと向き合えるようになったのかもしれないね。」


  • ギタリスト須古氏と和蔵珈琲店にて


  • 自宅のテラスの前に広がる緑


  • Mix犬のミウちゃん


  • café小舟 店内


  • café小舟 店内

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